その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
「うそ。だって、秦野さんと広沢くんて同期でも特に仲良いじゃん」
「こないだの歓迎飲み会のときだって2人で幹事やってたし。絶対付き合ってると思ってた」
「あたしも!」
口々に話す声が矢継ぎ早に聞こえてくる。
それに答えるように秦野さんが笑った。
「前に一緒の仕事したときによく話すようになって、しょっちゅうラインするよ。ごはんに一緒に行ったりするし。もしかして……って思ってたんだけど、全然」
「そうなの?」
「そうなの。こないだも仕事のあとにごはん誘って一緒に行ったんだけど、あたしが話してるのにずっとうわの空でね。教えてくれないけど、彼女か好きな人でもできたのかなー、なんて」
「それで、飲み会に参加することにしたんだ?」
「うん。他の出会いも探してみようかなーって」
「秦野さんなら、探さなくても向こうからいくらでも来るでしょ?」
「そんなことないよ」
「でも……」
メイク直しが終わったのか、彼女達の話す声が途中から少しずつ遠くなっていく。