その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―


「ありがとう」

ちょっと先のプリンターに資料を取りに行って、さらにコピー機のあるほうに引き返してくる。

いつもなら数分で済ますことのできるその工程すら、頭痛と体の怠さが億劫にさせていたので助かった。

お礼を言って受け取ろうとすると、広沢くんが持っていた資料をさっと翻す。


「何部必要ですか?俺もコピーする資料があるんで、ついでにやってきます」

「自分でやるから大丈夫よ。人の世話焼いてないで、広沢くんも自分の仕事を終わらせて早く帰りなさい」

遠ざけられた資料を取り戻そうと腕を伸ばすと、広沢くんに肩を軽く押された。

思わずよろけた私の腕をつかまえると、広沢くんがさりげなく引っ張ってデスクのイスに座らせる。


「人の世話焼いてんのは、碓氷さんのほうですよね?」

目線が一気に低くなった私を、広沢くんがじっと見下ろしてくる。




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