その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
「じゃぁ、先に出て外で待ってますね」
「どうしてそうなるのよ」
「送っていこうと思って。途中で倒れないか心配なんで」
「それも必要ないわ」
まだ社内に人がいるのもあって、広沢くんとコピー機の前でひそひそ声で言い争う。
「俺に余計な世話を焼かれたくないなら、これは俺に任せておとなしく帰ってください。せっかく資料纏めても、明日体調不良で出社できなかったら元も子もないでしょう?」
8つも年下の広沢くんに尤もらしく諭されて、反論できずに口ごもる。
「ほら。俺に送られたくないなら、早く帰ったほうがいいですよ?それにこうやって俺たちが必要以上にふたりで仲良くしてるのも、他の人から見たら不自然じゃないですか」
「仲良くなんて紛らわしい言い方しないで」
キィっと目をつりあげた私を見て広沢くんが笑う。
なんだか頭痛が酷くなってきた。
額を押さえるて下を向くと、広沢くんが私の顔を覗き込んできた。
「どうしますか?俺に送られて帰ります?それとも、先に帰ります?」