LONELY MOON ―ロンリームーン―
 


「嘘っ!!嘘ッ!!!!すっご――いっ!!!」


「は?何が…」


「同じ!!同じクラスだよぉっ!」



そのことには俺も目を丸くした。

同じクラス…!?

そういや、俺はまだ教室にすら行ってねェんだ。

クラス替えがどうなったかなんて勿論見ちゃいねェ。



「へぇーっ高田くんってあなただったのね!

私、ずーっと気になってたの!」


「は?何で…」


「だって!

だって私と高田くん、席が隣なんだもの!」




…!?

言葉が、出なかった。

柄にもなく、俺の心臓はその時、どくんどくんと跳ねていた。

席が隣ってだけで…俺は小学生か。




「いっつも学校来ないから、どんな人なのかなー、って思ってたの!

あなただったのね!

えへへっ、良かった!」


「……知らねぇよ」


「よろしくね、高田君!」



そっぽを向ける俺に、女は無邪気にも手を差し伸べてきた。

それは、同じクラスだったことよりも席が隣だったことよりも俺は驚いて、同時に心臓はヤバイほどに鼓動した。

確実に美佐子いからかわれる。

しかし、そんな恥じらいも、俺の心臓が押しのけて、



「えへへ、よろしくねっ!」


「………」



やわらかい手をそっと握った。



 
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