飼い主の溺愛

下を向いて返事がない由梨さんに戸惑う。

いつも大人な女性で、憧れであったこの人がこんな小さく見えたことはない。

沈黙が流れる。

リビングの戸が開く音がする。

「あのー、おやつ買いに少し出ても大丈夫ですか?」

ジャンケンで負けたのか、勉強が必要ない組なのか、

美夜とクロくんが様子を伺いながら、尋ねてくる。

たぶん、何も言わずに玄関に人がいるところを抜けていくのも失礼だと思ったんだろう。

「2人で行くの?」

こんな状況で、少し嫉妬してる俺も大概だ。

「え、はい!椎名さんも何か入りますか?ジャンケンで負けちゃって!」

あぁ、ジャンケンか。

少しホッとしてると、

美夜の目線が泳ぐ。

たぶん、由梨さんを気にしてるんだと思う。

「美夜ちゃんごめんね、」

…?
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