私のかみさま
『……さなのこと
だんだん忘れちゃうんだって…』


おじいちゃんや
皆の前では堪えていた涙が溢れた


悲しくて仕方なかった


弱くなっていく


小さくなっていく


そんな姿を見るのが


まるで、知らない人みたいになっていく
おじいちゃんを見るのが


自分の顔を


名前を


忘れられてしまうのが



名前を呼んでもらえなくなる日が来るのが



怖くて怖くて


恐怖と不安でいっぱいだった



『こわい』『やだ』を繰り返して
泣き続ける私の前に膝をついた神様は

そんな私を、優しく抱き締めてくれた



『――それは、寂しいな』



私の気持ちに寄り添って


寂しさを共有してくれた


一緒に悲しんでくれた




私は声を上げて泣いた
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