溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
気だるさを感じながら瞼を開けると、やわらかく微笑む彼の顔が間近に見えた。
「おはよう」
どうして彼と、同じベッドに?
一瞬頭が混乱したものの、なにも身に着けていない彼と自分の姿を見たら、情熱的に体を重ね合わせた昨夜を思い出した。
「お、おはようございます」
口から出た少し掠れた声を恥ずかしく思いつつ、愛しい人と一夜をともに過ごした幸せを噛みしめた。けれど笑みを浮かべていた彼の表情が一転する。
「ヤツのことだけど、俺の知り合いの弁護士に相談してみないか?」
上半身を起こした彼が口にした『ヤツ』とは、私を騙した結婚詐欺師のことだ。
私を心配してくれるのはとてもありがたい。でも今になって波風立てるようなことはしたくないし、いつまでもあの過去に縛られたくない。
「弁護士さんに相談はしません」
彼に続いて上半身を起こし、膝を抱える。
「どうして?」
「彼を目撃してしまったことはたしかにショックだったけれど、慰めてもらったらスッキリしたというか……。消せない過去を悔やんでばかりいるより、今を大切にしようって思えたんです」
眉間にシワを寄せる彼を真っ直ぐ見つめながら、今の自分の思いをぶつけた。