溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

しかし私には専務が今すぐ京都に行かなくてはならない理由がわからないし、萌さんという許嫁とご両親にどのようなケジメをつけなければならないのかもわからない。

少ない言葉でお互いの気持ちを瞬時に理解し合ったふたりの様子を見て混乱していると、専務が私に向き直った。

「菜々子。俺のこと、信じて待っていてほしい」

「……」

許嫁がいる彼のなにを信じればいいというの?

彼に対して不信感が募っていき、言葉に詰まってしまった。けれど彼の意思は固い。

「広海。俺が戻って来るまで、菜々子のことをよろしく頼む」

「わかった」

黙ったままの私に背中を向けた彼が玄関ホールに向かう。

ついさっきまでは、幸せに満ち足りた時間を彼と過ごしていたのに……。

まるで地獄に突き落とされたような現実が信じられず、力なくソファに座り込んだ。

「大丈夫か?」

「……心配かけてごめんね」

隣に腰を下ろした広海さんが、心配げに私の顔を覗き込む。

「いや、こっちこそごめん。あのさ……許嫁のこと、兄貴に聞いてないの?」

「……なんか聞きそびれちゃって」

彼のプライベートなことを詮索するのはよくないと思い、許嫁のことは敢えて聞かずにいた。けれど本当は真実を知るのが怖かっただけなんだと、今になって気づく。

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