【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
顔を真っ赤にして怒れば、蒼士は楽しげに笑った。
「からかってなんかいないよ。本気で心配してるんだ。初めての綾香にはちょっと激し過ぎたかなって思って」
「も、もう蒼士〜! ……失礼しますわ!」
思わず会社というのも忘れて彼の名を叫ぶと、ハッと我に返って副社長室を逃げるように退出した。
「仕事に徹しようとしているのに、私を弄るなんて酷いですわ」
副社長室の前でひとり毒づけば、ちょうど隣の社長室から赤石さんが出てきてクスッと笑った。
「朝から仲がいいわね。社長室にも綾香さんの声聞こえたわよ」
社長室にも私の声が聞こえてた?
「う……そ。あら……まあ……どうしましょう~!」
動揺せずにはいられない。
社長も私の声を聞いているということだ。
顔を青くする私の肩を赤石さんがポンと叩いて慰める。
「大丈夫よ。社長は『早く式の日取りを決めないとな』って笑ってたわよ」
「……全然大丈夫ではありませんわ。恥ずかしい。穴があったら一生入っていたいですわ」
ショックでしゃがみ込めば、彼女は面白そうに言った。
「それは無理ね。副社長が綾香さんを放っておくわけないわよ」
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