【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
だって、家にいる時にたまに電話がかかってきて、わざわざ書斎にこもって彼は話している時がある。
明らかに私に聞かれるのを避けている雰囲気だ。
仕事の電話は私の目の前でも平気でしているのに……。
私は彼が気に入っている女のひとりということなのだろうか?
「……私、資料の作成を頼まれてて………海外戦略室に戻りますわ」
急に気分が落ち込んで、赤石さんの顔を見ずにそう告げると立ち上がってふらつきながら自分のオフィスに戻る。
「綾香ちゃん、顔真っ青だよ。どうしたの?」
席に着く私に、隣の席の藤原が心配そうに声をかける。
「……エレベーターに挟まれそうになって少しビックリしただけですわ」
笑顔を作ろうとするも、顔が引きつって上手く笑えない。
それ以上話しかけられたくなくて、パソコンの画面を見据えメールを処理する。
でも、いくらメールを読んでも頭に内容が入って来ない。
どうしても蒼士のことを考えてしまう。
肌を重ねたのに、私にはまだ彼のことがよくわからない。
彼はイギリスにいたし、恋愛経験多そうだけど私は違う。
本気で身体を捧げたいと思ったのは彼だけなのだ。
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