【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
今まで恋人もいなかったし、男兄弟もいないし、男というものをよく知らない。
幸せそうな美佳を見て、恋って楽しいものかと思っていた。
でも、誰もがそんな甘い恋をするわけではない。
苦い恋だってあるのだわ。
ハーッと重い溜め息をつけば、前の席の剣持さんが私を冷やかす。
「そんな溜め息をついてると、幸せが逃げるぞ」
いつもなら彼を睨みつけて何か言い返すのだが、今はその元気もない。
「……もうとっくに逃げてなくなってますわ」
ポツリとそんな言葉を口にすれば、剣持さんは少し驚いた顔をした。
「おい……お前、大丈夫か?」
「……もう心は死んでいます」
力なくそう答えれば、剣持さんは「あ?」と低い声を出して首を傾げる。
だが、詳しく説明する気力もない。
まるで魂が抜けてしまったかのようだ。
私だけを愛して欲しいと願うのは贅沢なのだろうか?
あっ、大変。会議の準備をしなくては!
壁時計に目をやれば午前九時四十分すぎ。
蒼士と大谷さんが用意した資料を手に持ち、席を立って同じフロアの反対側にある第一会議室に向かう。
第一会議室はこの会社で一番豪華な会議室で、社長が出席する会議に必ず使用される。
幸せそうな美佳を見て、恋って楽しいものかと思っていた。
でも、誰もがそんな甘い恋をするわけではない。
苦い恋だってあるのだわ。
ハーッと重い溜め息をつけば、前の席の剣持さんが私を冷やかす。
「そんな溜め息をついてると、幸せが逃げるぞ」
いつもなら彼を睨みつけて何か言い返すのだが、今はその元気もない。
「……もうとっくに逃げてなくなってますわ」
ポツリとそんな言葉を口にすれば、剣持さんは少し驚いた顔をした。
「おい……お前、大丈夫か?」
「……もう心は死んでいます」
力なくそう答えれば、剣持さんは「あ?」と低い声を出して首を傾げる。
だが、詳しく説明する気力もない。
まるで魂が抜けてしまったかのようだ。
私だけを愛して欲しいと願うのは贅沢なのだろうか?
あっ、大変。会議の準備をしなくては!
壁時計に目をやれば午前九時四十分すぎ。
蒼士と大谷さんが用意した資料を手に持ち、席を立って同じフロアの反対側にある第一会議室に向かう。
第一会議室はこの会社で一番豪華な会議室で、社長が出席する会議に必ず使用される。