【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
会議室のドアを開ければ、清掃員がいてビックリした。
ブルーの作業服に帽子を被った男性がモップを持って立っている。
会議室の掃除になぜモップ?
そう疑問に思ったところに赤石さんがやって来た。
清掃員をひと目見るなり彼女は注意する。
「ちょっとあなた、ここの清掃は土日にお願いしているはずですが?」
「ああ、すみません。新人なもんで間違えました」
どこかで聞き覚えのある声だって思った。
清掃員は軽く謝って会議室を出て行こうとする。
普通にそのまま出ていくのかと思ったが、違った。
いきなり赤石さんの腕を掴み、羽交い締めする。
「キャッ!」
彼女が悲鳴をあげて抵抗すると、清掃員の帽子が脱げて床に落ちた。
それで清掃員の顔がよく見えて……。
それはよく知ってる私の従兄だった。
「秋人さん!」
驚いて声を上げれば、彼は私を見て黒い笑みを浮かべた。
「やあ、綾香。とっても会いたかったよ。君の婚約者のせいで、俺は警察に追われて酷い目にあってね」
ゾクッとするも、彼を見据えて言い放った。
「自業自得ですわ! 早く彼女を離しなさい!」
蒼士のことをずっと考えていて、秋人さんのことは頭になかった。
警備は厳重だったはずなのに、彼は今私の目の前にいる。
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