【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「いいね。その毅然とした態度。我が従妹ながら惚れ惚れするな」
秋人さんはニヤニヤしながら私を見ているが、赤石さんはブルブル震えていた。
早くなんとかしなければ。
「話を逸らさないでくださいね。早く彼女を離さないと、その腕へし折りますわよ。私が空手の有段者なのはご存知?」
ハッタリもいいところ。
だが、秋人さんは私が運動音痴とは知らない。
キッと憎らしい親族を睨みつければ、彼は少し怯んだ。
本当は私だって怖い。
でも、怖がっていたら赤石さんを助けられない。
「……だったら、お前が人質になれ。そしたら、この女を解放してやろう」
秋人さんの出した条件に迷わず答える。
「いいですわ」
「じゃあ、両手をあげてこっちに来い」
言われるまま両手をあげて一歩一歩ゆっくりと近づけば、彼は赤石さんを離し、私の手を掴んで引き寄せた。
「キャッ」と思わず声をあげると、赤石さんが心配そうに私を見る。
「綾香さん……」
「……大丈夫ですわ。早く逃げてください」
気丈にもニコッと笑って見せると、彼女を急かした。
「さあ早く!」
赤石さんは私の目を見てコクッと頷くと、会議室を飛び出した。
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