【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
彼女が会議室からいなくなり、ホッと胸を撫で下ろすが、すぐに秋人さんとふたりきりになったことを意識して身体が緊張する。
この間は彼に襲われかけた。
また襲われたら……。
そう考えるだけで怖くて身体が震えそうだ。
しっかりするのよ、綾香。きっと赤石さんが助けを呼んでくれるはず。
それまでなんとかして耐えるのよ。
そんなことを思案している間に、秋人さんがポケットからテープを取り出し、私の両手首を後ろでぐるぐる巻きにする。
「私を拘束してどうするつもりなのです? 私を連れたまま逃げられると思ってますの?」
秋人さんを挑発するように言えば、彼はニヤリと口角を上げた。
「ああ。逃げるさ。お前の婚約者に金と自家用ジェットを用意してもらって、海外に逃げる。お前を連れてな」
楽観的な従兄の発言に呆れた。
こんな馬鹿な人に父の命を奪われたのかと思うと悔しくてならない。
「海外に行っても、いずれ捕まりますわ。出頭して罪を償うのが賢明ですわよ」
軽蔑の眼差しを秋人さんに向ければ、彼は私の顎を掴んで顔を近づけた。
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