わたしたちのLOVE ROAD〜幼馴染と幸せになる方法〜
高校野球はどうやら、翔陵が決勝にまで勝ち残ってたみたいだ。

よく見ると相手もあの時と同じ…大阪の城北学園じゃないか。
懐かしいユニフォームがグランドで躍動している。

テレビ画面に釘付けになってる自分がいた。



マウンドにいる俺には怒涛のような歓声が聞こえる。
あの時俺は…これで、美湖の前で投げるのは最後なのだと思ってマウンドに上がった。

美湖は、ベンチの中でスコアを書いていた。

かなりの連投で疲労もピークに達してた俺は、何度もピンチを迎えたし、当然得点は何点も許した。

相手は打の城北だ。
ちょっとでも甘く入ったらスタンドへ運べる奴が何人もいた。

けど、翔陵だってそれなりに疲れていた城北のピッチャーを打ち崩し、得点は重ねていた。

そして同点で迎えた最終回。
俺は相手の表攻撃で決勝点を許してしまった。
喜ぶ城北ナインとうなだれる俺たち。

けど、これが俺の限界だった。

美湖に…伝えたかった。

俺…がんばったろ?
って…
美湖…俺お前の前で最後に打たれちまったけど…勇姿見せられたかな?
って…


「悠…」

フワッと美湖の両腕が俺を包んだ。
俺は知らないうちに泣いてたらしい。

「大丈夫。わたしは悠をずっと見てたから。悠…カッコよかったから。」

「ほんとか?」

俺は子どもみたいに美湖を見上げた。

「ほんとだよ。わたしのヒーローはずっと水嶋悠(みずしまはる)だけなんだよ。」

俺が今まで野球をしてたのは、当然自分のためであることは確かなんだけど、美湖に見せたかったからってのがおっきかったんだと思った。

美湖の心は遠かったけど、高3までは近くにいた。
けど、大学に行ってから、美湖が近くにいなくなって、めちゃくちゃ苦しかった。

それが今わかった。
美湖がそばにいないと…俺ダメなんだ。


あー野球やりたいって今、突然思った。
美湖が見てる前で…やりたい。

「なぁ…美湖。キャッチボール。やりたくなってきた。」

美湖に抱きしめられたまま、美湖を見上げたまま、気づいたら俺はつぶやいていた。


あーー。けど、グローブもボールもなんもねぇや。
全部捨てたんだった。
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