【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 家族連れやビジネスマン、旅行客などがスーツケースを引いて出てくる。迎えの人も多く、そこは少し混雑していた。

 私は人の肩の間からドアへ視線をやっていた。

 五分ほど経っただろうか、きびきびとした足取りのスーツを着た柊吾さんが出てきた。機内持ち込み可能のスーツケースを引き、空いている片方の手にはカーキ色のカシミアのコートを持っている。

 一週間ぶりに見る柊吾さんの姿に胸がトクンとときめいた。

「柊吾さんっ!」

 名前を呼んで目の前に立つ大きな男性の間から飛び出して、柊吾さんに駆け寄ろうとした私の足が止まる。

 柊吾さんの横にキャメル色のロングコートを着た女性がいたのだ。その女性が「柊吾さん」と呼ぶ声に私の目が大きく見開く。

 誰……?

 目鼻立ちのはっきりした美しい日本人女性だった。親し気に話をしながら、ふたりは空港の出口へと向かっている。

 私は茫然とふたりの背中を見つめていた。

 あの人、たしかに『柊吾さん』とすごく親しげな呼び方だった。

 柊吾さんと女性は自動ドアの向こうへ消えていく。私は追いかけて声をかける勇気がなかった。

 小さなスーツケースを引いている女性は、柊吾さんに楽しそうな笑顔を向けていた。ずっと一緒に行動していたような雰囲気に思えた。

 日本の知り合いだよね……? 機内で会ったとか……。

 
 

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