【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 それから私たちは車で、千代田区にある渡会(わたらい)大学医学部付属病院へ向かった。

 イタリアの高級車を柊吾さんは巧みに操っている。

 シルバー色の高級セダンで、柊吾さんのようにカッコいいフォルム。シートは包み込まれるように座り心地がよくて、飛行機のファーストクラスのように最高だ。

 柊吾さんが運転する姿を、助手席からカッコいいなと思いながら見ていた。

 お義父さまは特別室に入院していた。柊吾さんの言う通り半身が動かなくて、言葉も拙(つた)くなっていたけど、私を見て喜んでくれた。

 柊吾さんの示唆したように、変わらざるを得なくなった姿に、やはりショックは否めない。

 病室にいたお義母さまと三十分ほど話をして、「帰国した当日で忙しいのだから、帰りなさい」と気遣われた私たちは病院をあとにした。

 車内時計はもうすぐ十九時になろうとしていた。

「お腹が空いただろう。レストランへ寄っていこう」

 レストランかぁ……ちょっと疲れちゃったし、柊吾さんも明日からお仕事……。

「どうした? なにか食べたいものがある?」

 ちょうど赤信号になり、ステアリングを握る柊吾さんは私のほうを見る。



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