【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「大学もいいと思うが?」
「フランス留学から戻ったら、大学で美術史学を学ぼうかと考えていたけど……」

「藤井画廊を手伝いたいんだろう? 心春の美術の知識は俺も舌を巻くくらいだが、まだ若いし、すぐに働かなくてもいいと思うんだ。まずは外語大学でフランス語を専攻してもいい」

 柊吾さんと結婚したときは、約束の日で離婚をして、あともう何年かフランスに滞在してから帰国し、お父さんの仕事を手伝おうと思っていた。

 でもそれは柊吾さんを愛した時点で、二の次になってしまったのは否めない。

 私はここで柊吾さんのためになにができるかな……。

「……柊吾さんは、私に望むことはある?」
「心春に望むもの? 君が幸せで毎日が楽しければなにもない」

 彼は真摯な表情で、すぐにきっぱりと言い切る。

 深い海のように私を愛してくれている柊吾さんにやっぱり報いたいと思う。

「……少しだけ考えたい」
「ああ。それがいい。しばらく遅い帰宅になると思う。友人に会って相談するのもありだよ」

 私はコクッと頷いて、残りのから揚げを口にした。


 翌日、私が作ったイングリッシュブレックファーストを食べた柊吾さんは仕事に出かけた。

 今日はパリから送った荷物が届く予定になっていた。そしてお昼前に十五個の段ボール箱が運ばれてきた。


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