【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「さっぱりしていて、何個でも食べられそうだ」

 柊吾さんのお皿には手のひらより少し小さめのハンバーグがふたつ。

「まだあるからおかわりしてね」

 最初の頃は失敗ばかりだったけれど、最近は簡単な料理はまずまずの出来だった。

 柊吾さんが美味しいと言ってくれるのがなによりも嬉しい私だ。

「あ、オーリィ家なんだけど、日本へ来られなくなったの。オーリィ氏の仕事関係の友人に誘われたとかで、家族でイギリスへ行くことになって」
「そうか……政治家だから、いろいろな付き合いもあるだろう。残念だな」
「うん……でも来年は来られるそうだから。それを楽しみにしてる」

 ジュリアンとポーリンからも、残念でがっかりしているとメッセージをもらっていた。

「来年を楽しみにしよう。その前に俺たちが先にパリへ行けるかもしれない。そうだ。父が二十四日に退院するんだ。母から退院祝いをするから日曜日に遊びに来てくれと言われている」

 二十四日は今週の金曜日。もっと長い入院だと思っていたから安堵した。

「お義父さまが退院……よかった」
「まあ常勤のヘルパーに付き添ってもらうが、父も自宅に戻れば気分転換になるだろう。心春?」

 私がお義父さまのことで考え込んでしまったのがわかったのか、柊吾さんが名前を呼ぶ。


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