【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「寒かったでしょう? お仕事お疲れさまです。スープ温めてくるね」

「ありがとう。手洗いをしてくる」

 柊吾さんはマスターベッドルームの横のドアへ消え、私はキッチンへ向かう。

 梨沙に教わったオニオングラタンスープとチキンを温めているうちに、冷蔵庫から真鯛のカルパッチョを出して、テーブルへ運ぶ。

 柊吾さんはスーツの上着を脱いだ姿で現れた。ネクタイはなく、ワイシャツのボタンが三つほど外されていて、袖をまくっていた。

 ベスト姿の柊吾さんもカッコよくて、ポケッと見惚れそうになってしまう。

「柊吾さん、飲み物はどうする?」

「スープがあるんだろう? 飲み物はいらないよ」

 キッチンにいる私の隣に来た柊吾さんはそっと肩を抱き寄せて、こめかみにキスを落とす。

「これだけ作るには大変だっただろう? ありがとう」

「ケーキも買ってあるんだけど、もう夜中だから明日にしようと思って」

 トレイにオニオングラタンスープとチキンのフリカッセのお皿をのせて運ぼうとすると、柊吾さんが持っていってくれる。

「バゲットとご飯どっちがいい?」

「ご飯にしよう。チキンにも合いそうだ」

「はいっ。スープ飲んでてね」

 ご飯をお茶碗によそって戻る。

「オニオングラタンスープ、懐かしいな」

「ホームステイしていたときに梨沙に教わったんだけど、どうかな?」

「美味しいよ。心春、座って」

 柊吾さんは自分の隣のイスを引いて、私に腰を下ろさせる。

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