【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 私の着飾った姿をまだ見ていなかったお父さんは頬を緩ませた。

「綺麗じゃないか。花嫁そのものだな」
「お嫁に出すのが惜しくなった?」

 軽口を叩く私にお父さんは笑いながら首を左右に振る。

「いやいや、言っただろう? 柊吾くんのような青年が夫ならば安心だと」

 本当に柊吾さんをお父さんは気に入っている。きっと前から彼を知っていたから、この話をすすめたのだろう。


 パーティーの会場となるフレンチレストランは、柊吾さんが泊まっているホテルの二十階にある。

 一階でエレベーターに乗り込み上昇すると、緊張感に襲われてきた。パーティーバッグの持ち手をギュッと握り、小さく深呼吸をする。

 両親もさすがに緊張しているようで、フレンチレストランに入るまで三人で沈黙していた。

 エレベーターを降り、レストランへ歩を進めると、入口に柊吾さんの姿が目に入る。

 ブラックフォーマルスーツの柊吾さんは息を呑むほど素敵だ。真紅のネクタイで華やかな雰囲気もある。

 私たちに気づいた柊吾さんは頭を下げた。顔を上げた彼と目が合う。

「言葉では言い表せないくらい綺麗だ」

 表情を崩して柊吾さんは私をいい気分にさせてくれる。

 そこでハッとなる。

 柊吾さんに褒めてもらいたくて着飾ったのだと。

< 81 / 250 >

この作品をシェア

pagetop