【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 柊吾さんはすでに着替え済みで、ブラックフォーマルスーツから薄手のニットとデニム姿になっていた。

「柊吾さん、ありがとうございます。このお洋服、楽で気に入りました」
「よく似合うよ。行こうか」

 手に持っていたショッパーバッグを柊吾さんが持ってくれ、スイートルームを出た。


 両親たちはホテルのロビーで待ってくれていて、私たちは最後の挨拶をする。

 正巳さんと恵里菜さんの姿はない。

 お母さんはパスポートなどが入っているバッグを私に渡してから、柊吾さんに向き直る。

「心春をよろしくお願いします」

 柊吾さんに私を頼むお母さんの瞳が潤んでいた。お父さんも一歩前に出て柊吾さんに近づく。

「柊吾くん、心春はなにもできない世間知らずの娘だが、素直でいい子なんだ。よろしく頼む」

 お父さんは柊吾さんと握手を強く交わしている。

 四月にパリへ行ったときより、寂しい気持ちに襲われる。

 あのときはひとり。今日はふたりなのに。

「はい。近いうちに遊びに来てください。心春さん、車に乗って」

 黒塗りの高級外車の後部座席に乗り込み、隣に柊吾さんも座る。私は窓を開けて手を振った。

「出してくれ」

 柊吾さんが運転手に言葉をかけ、車が動き出す。


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