【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～

「クソッ！」

　私に叩かれた男の顔が真っ赤になった。自尊心が傷つけられ苛立ったのか、男が手を上げた。

　殴られる！と思ったとき、振り上げられた手首が何者かの手によって掴まれた。

　ひとりの男性が私と若い男ふたりの前に立ちはだかる。

　濃紺のジャケットを羽織った長身の男性だった。後ろ姿しか見えないが、ふたりの若い男より身長は高く肩幅が広い、スラリとした人だ。

「勝手に誘って嫌がられ手を上げるとは、最低だな。彼女は俺の連れだ。さっさと行け」

　男性は彼らに鋭く言い放ち、掴んでいた手を放す。

「チェッ！　男がいたのかよ」

　若い男たちは男性に反抗もせずに去っていった。

　私は安堵し、ふっと肩の力が抜ける。それと同時に男性が振り返った。次の瞬間、私は目を見張った。

　日本人……？

　今まで見たことがないくらいのイケメンだった。
　
　キリッとした眉に奥二重の涼し気な目。唇は薄すぎず綺麗な形で、それぞれのパーツが整っている。

　黒髪は艶やかでサラッと指を入れたくなるほど清潔感があり、長さは襟に少しかかるくらいだ。