拾ったワンコが王子を連れて来た

エレベーターで、15階まで上がると重役フロア専用の受付があり、とても綺麗な女(ひと)が居た。

「生田ですが?」

「はい。伺っております。第1応接室へどうぞ?」

彼女は、一瞬私達の繋いだ手を見たが、顔色一つ変える事は無かった。

やっぱり、重役室専用の受付は違う。
生田さんを見ても、微笑んだだけだったもんね…
多分、あの微笑みも変な意味の微笑みじゃなくて、誰に対しても同じ、いつもと変わらない微笑みなんだろうなぁ…

毛足の長い絨毯の上を少し歩き、第1応接室とプレートのある部屋の前で止まる。
そして、ドアをノックすると、中からの返事を確認してから、生田さんはドアを開けた。

部屋の中に居たのは、ゼネラルマネージャーと、品の良い少し年配の女性だった。

「やっと来たか?」と言うゼネラルマネージャー。

やっとって事は…
やっぱり私達は呼ばれて居たって事?
それも、ゼネラルマネージャーに?

「申し訳ありません。奥様にまでお時間頂きまして?」と生田さんは言う

奥様…?
え!?
この女性が、ゼネラルマネージャーの奥様??
随分歳が離れてる様に見える。
それこそ親子ほどに…

困惑する私を察したのか、女性が口火を切った。
「生田さん、先ずは、ご紹介して頂けます?
彼女も困惑している様ですし?」

「はい。失礼しました」

「ゼネラルマネージャーの事は、君も知っていると思うが、こちらはゼネラルマネージャーのお母様で謂わば総帥の奥様だよ?」

えっ?…総帥の奥様だったの…?
でも、総帥の奥様が何故この場に…?

「ぁ…わたしく、SAKURAホテル〇〇のベルをしております、木ノ実真美と申します」
私は、自分の緊張をほぐす為に、お辞儀をしながら、ゆっくり深呼吸をした。




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