拾ったワンコが王子を連れて来た
生田さんの宣言に、驚きを隠せない私は、ゼネラルマネージャーや総帥の奥様がいる事も忘れて、生田さんに暴言を吐いた。
「いい加減にしてよ!
あんた馬鹿じゃないの⁉︎
王子だなんだってチヤホヤされて、誰もがあんたに惚れると思ったら大間違いよ!?
私は誰の事も好きにならないし、結婚なんてモノに興味もない。結婚なんて絶対しない!」
「木ノ実さん、少し落ち着いた方が良いわ?」
「他人は黙ってて!」
あ…
総帥の奥様が止めるのも聞かず、私は怒りのままに、奥様にも暴言を吐いてしまった。
ああ…
私…終わった…な…
再就職先見つかるかな…?
もう、絶対どこのホテルも拾ってくれないよね…
バカバカ! 私の大バカ!
最初のホテルでは上司にセクハラを受け、上層部に告発したら、今度はその上司からパワハラされて、耐えられなくなり、2ヶ月で退職した。
そしてSAKURAホテルでは、上司だけじゃなく、総帥の奥様にも暴言吐いたんだもん。
謝っても遅いだろうけど…
奥様にだけは謝った方がいいよね?
「大変失礼な事を言いまして…申し訳ありませんでした」立ち上がり謝ると同時に、未だに離されない生田さんの手を私は叩いた。
「いいえ。あなたが仰る事が正しくてよ?」
え?
「でもね?
人の縁には絶対ってものは無いと、私は思いますよ?」
確かに、人の縁に絶対というものは無い。
現に、結婚という契約を結んだ父は、母を裏切り、私をも捨てた。
「木ノ実さん、私から一つ聞いても良いかな?」とゼネラルマネージャーに言われ、私は “ はい ” と答えた。
「君は何故ここに来たのかな?」
「それは…生田さんに連れて来られたから…です」
「正しくは、稀一郎について来たんじゃないかな?」
「えっ! どういう事ですか?」
ゼネラルマネージャーが、何を私に言おうとしているのか…
私にはゼネラルマネージャーの意図が全く解らない。