一筆恋々

【七月二十八日 手鞠より静寂への手紙】


ああ、静寂さま。
げにも慕わしき(おもかげ)よ。

日毎(ひごと)夜毎(よごと)(つの)る想ひは、月の光差す窓辺を涙で濡らす。

かの黄昏(たそがれ)近き頃合いに、(あい)()うたあの塀の上にも、涙の月は降り注ぎ、
(廃棄)



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