一筆恋々

【八月一日 手鞠より菜々子への葉書】


暑中お見舞い申し上げます

炎暑厳しく、課題もやらずに、麦湯の中で踊る氷の音に耳を傾けております。
菜々子さんはピアノのお稽古に励まれていることと思いますが、あまり根を詰め過ぎず、お身体労ってくださいませ。


大正九年盛夏
春日井 手鞠
滝口 菜々子様


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