エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない


「え、こんなに?」
「今日は、他からも差し入れがあったって話だったから、残ったんだろ」
「そうなんだ……。それにしてもひとりでこんなには……」

たい焼きって冷凍できたっけ。
今川焼が冷凍食品として売っているのは見たことがあるけれど、これも冷凍して大丈夫だろうか。

そんなことを考えていると、「今日も暑いな」と芝浦がもらす。
見れば首筋を汗が伝っている。それもそのはずだ。私だって駅から歩いただけで汗だくになった。この時間はまだまだ暑いし、しかも電車だって混み合っていたはずだから疲れただろう。

今は玄関を開けたままの状態だけど、前にある空気はもわっと暑く、背中から流れてくる空気は涼しい。
シャワー前に入れておいたエアコンが効いてくれている。

今日の午前中にある程度の掃除はしたし、洗濯物もシャワー前に畳んでしまってある。それを頭のなかで確認してから、芝浦をチラッと見上げた。

……まぁ、芝浦は大丈夫だろう。
それにこのまま帰ってもらうのも申し訳ない。

「時間があるなら少し涼んでいく? お茶かコーヒーくらいしか出せないけど、たい焼き食べていって」

社交辞令に、芝浦は少し考えるような顔を見せたあとで「じゃあ、そうさせてもらうかな」と返事をした。

来客用のスリッパを出し、クッションを渡して適当な場所に座っててくれるよう話すと、芝浦はローテーブルの前に座った。

この部屋に同期が来るのは初めてなだけに、少しの違和感があった。
透明なコップに入ったアイスコーヒーをふたつテーブルに置き、芝浦の斜め向かいに腰を下ろす。

八畳ほどしかない部屋は、四分の一はベッドで埋まっているため、こうしてふたりで座るとわずかな窮屈さを感じた。
芝浦の背が高いせいもあるかもしれない。

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