エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

『無茶ぶりしても俺ならどうにかするだろうって過信されてるんだろうな。まぁ、実際、どうにかするけど』

涼しい顔で言われたときには、『なに、自慢?』と口を尖らせたけれど、そう言い切れるのはそれだけの努力をしているって証だ。

「必ず来るんだな。もう仕事してないんだっけ?」
「ううん。退職まであと十年くらいあるんじゃないかな。休みの日にわざわざ来てるみたい。ただの冷やかしだっていうのは明らかだけど、内見したいって言ってくる以上、どうにもできなくて。沼田さんには、私がへらへら笑って相手をするからダメなんだって言われたけど……冷たくするの、難しくて」

いくら相手が小金井さんでも、お客様として相手している以上、真顔でそっけなくなんていうのは無理だ。愛想笑いしてしまう。

でも、その愛想笑いだってしたくてしているわけじゃない。仕事だから仕方なくだ。我慢して頑張って笑っているのに、それがダメだと言われてしまうのは時々きつい。

冗談でしかないとわかっていても、部署の男性社員に『小金井さんって社長だし、気に入られておけば玉の輿もあるかもだもんな』なんてからかわれて、『は? だったら代わってください。気に入られれば養子になれるかもしれませんよ』なんて、うっかり戦闘態勢になりそうになったこともある。

疲労度マックスだったらきっと実際に言っていた。

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