エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない


携帯のアラームを止めたあと、背伸びをしてベッドを下りる。
着替えとメイクのあとトーストとヨーグルトを食べ、歯磨きを終えたあとで髪をまとめる。

先月染めてカットしたばかりの茶髪は、肩下十センチに満たない。簡単にヘアアレンジしてまとめる日もあれば、下ろしたまま出社する日もある。

ちなみに、うまくまとめられた日は少しだけご機嫌でいられたりする。
それはメイクにもいえることで、二重の瞼に上手にアイラインが引けた日も気分がいい。

顔立ちもスタイルも十人並みな私が、どんな髪型やメイクをしていたところで気に留めるひとはいないだろうけれど、自分的には結構大事な部分だ。
そんな小さなことでその日のスタート時の機嫌が決まるのだから。

そんな私、桜井茉奈や芝浦が勤めるのは、大手不動産会社だ。入社して四年目になる。

国内に広がる支店では、仲介や管理といった、一般的に〝不動産業〟と聞いたときに一番最初に浮かぶような、賃貸を扱う業務を行っている。

一方の本社では、分譲した土地を販売したり、都市開発の一環としてアウトレットショッピングモールの企画建設に取り組んだり、中古マンションをリフォームして販売したりという、支店では取り扱わないような規模の仕事から、契約書を作ったりホームページの物件情報をちくいち更新したりといった地道な仕事まで、その内容は様々だ。

そんな、幅広い案件を取り扱っている本社は、新幹線も乗り入れる駅から徒歩十分のオフィス街にある。

そして私が配属されている、本店営業部という本社付けの店舗は、十二階建ての本社に組み込まれる形で一階に位置していた。

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