エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
日々の仕事は支店と同じで、直接お客様と顔を合わせて対応する、仲介業だ。
来店されたお客様から条件を聞き、気に入っていただける物件を紹介するのが主な仕事で、必要ならオーナーさんに条件の変更を打診したりもする。
一応、本社の一階部分に入ってはいるものの、仕事で連携することはなく、来店されたお客様とのやりとりは店舗だけで完結する。
逆に言えば、本社二階から上の部署がどんな仕事をしているのか、詳しく知らない。
本社二階にある食堂や、更衣室、トイレを使う際は、なんとなくよそ者扱いされている気がして少し落ち着かなかったけれど、それも最初のうちだけだ。四年目となればもう慣れた。
ちなみに芝浦は、本部三階にある経営企画部という部署に配属されている。
経営戦略や事業戦略の立案などを行う経営企画部は社の中枢と言っても過言ではない、いわゆるエリートの集まりだ。
そんな部署になんで芝浦が……という疑問の答えは、単純に芝浦が高学歴なことと、芝浦自身が持つ魅力のせいなんだろう。
入社式で初めて顔を合わせたときのことは、三年以上経った今でも覚えている。
アーモンド型をした奥二重の目は大きすぎず、とても整った形をしていた。すっと通った鼻筋も、形のいい唇も無駄のないきれいな輪郭も、さらさらとした黒髪も、芝浦を形成するすべてが他のひととは違っていて、視線を引き付けられた。
ひとつひとつの造形が丁寧とでも言うんだろうか。
これは、あとから聞いた話だけれど。人事部は芝浦をホープとして経営企画部に招き入れるか、広報部に配属して会社の顔にするか、どちらが宣伝効果が高いだろうと相当頭を悩ませたらしい。