独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 蓮斗がニットの下に手を入れ、スカートからキャミソールを引き出して素肌に触れた。そのまま背中を撫で上げるので、怒っているはずなのに腰の辺りが痺れるようにゾクゾクとして、甘い声を上げてしまいそうになる。

 詩穂は慌てて首を横に振った。

「に、逃げないっ。約束するっ」

 蓮斗は体を離し、詩穂の手を掴んで引き起こした。そうして彼女の右側に腰を下ろす。

「前に、インターンの話をしたのは覚えてる?」
「うん。アメリカからの留学生だって言ってた――」

 そこまで言って、詩穂は目を見開いた。

「まさか、その人があのマクブライトさん?」
「気づいてなかったのか」

 蓮斗は言いながらも、詩穂を逃がすまいと彼女の右手を握った。

 詩穂はぱちくりと瞬きをした。そのインターンなら今二十三歳か二十四歳くらいのはずだ。ジェニファーがとても大人っぽかったので、そんなに若いとは思わなかったのだ。

 蓮斗が話を始める。

「金曜の夜、突然ミズ・マクブライトがソムニウムを訪ねてきたんだ。彼女がまさかまた日本に来るなんて、心底驚いたよ。遅い時間だったから……会社には俺と啓一しかいなかった。啓一はとにかく彼女に腹を立てていて、会うなりけんか腰になったから、俺は冷静に話をするために彼女を連れ出したんだ」
「そのときにワインを飲んだの?」

 詩穂の問いかけを聞いて、蓮斗は首を傾げる。
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