独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
こんなところを見られたらまずいに決まってる!
詩穂は懸命に弘哉の手を振りほどこうとするが、彼の手は硬直したように動かない。
「この人は誰?」
美月は弘哉の隣で足を止め、鋭い目で詩穂を見た。
「あの、私、以前、CBエージェンシーで働いていた――」
名乗りかけたとき、バーの方から男性の明るい声が聞こえてきた。
「詩穂、そんなところにいたのか」
驚いてそっちを見ると、蓮斗が歩いてくる。にこにこ笑いながら詩穂に近づき、詩穂の手首を握ったままの弘哉の手首を掴んだ。そうして笑顔のまま、ギリッと力を込める。
「……っ」
弘哉が目を見開き、それと同時に詩穂の手を握る彼の力が緩んで、詩穂は手をさっと引き抜いた。
しかし、弘哉の手から逃れたとはいえ、目の前の美月は怒りの形相をしている。婚約者がほかの女性の手を握っていたら、そうなるのも無理はないだろう。
なんとか場を取り繕うような言葉を探していると、蓮斗が詩穂の肩に左手を回した。
「待たせてごめん。怒ってない?」
そう言って詩穂の耳に唇を寄せて、「大丈夫。俺に任せろ」とささやいた。詩穂が蓮斗を見ると、彼は小さく頷き、おもむろに弘哉と美月を見る。
詩穂は懸命に弘哉の手を振りほどこうとするが、彼の手は硬直したように動かない。
「この人は誰?」
美月は弘哉の隣で足を止め、鋭い目で詩穂を見た。
「あの、私、以前、CBエージェンシーで働いていた――」
名乗りかけたとき、バーの方から男性の明るい声が聞こえてきた。
「詩穂、そんなところにいたのか」
驚いてそっちを見ると、蓮斗が歩いてくる。にこにこ笑いながら詩穂に近づき、詩穂の手首を握ったままの弘哉の手首を掴んだ。そうして笑顔のまま、ギリッと力を込める。
「……っ」
弘哉が目を見開き、それと同時に詩穂の手を握る彼の力が緩んで、詩穂は手をさっと引き抜いた。
しかし、弘哉の手から逃れたとはいえ、目の前の美月は怒りの形相をしている。婚約者がほかの女性の手を握っていたら、そうなるのも無理はないだろう。
なんとか場を取り繕うような言葉を探していると、蓮斗が詩穂の肩に左手を回した。
「待たせてごめん。怒ってない?」
そう言って詩穂の耳に唇を寄せて、「大丈夫。俺に任せろ」とささやいた。詩穂が蓮斗を見ると、彼は小さく頷き、おもむろに弘哉と美月を見る。