俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
一瞬意味が分からなかったけれど、それが〝ほかの誰かへ送るはずだったメッセージの誤爆〟だと理解して、手のひらに嫌な汗が滲んだ。
(『ふたりきりで会おう』ってどういうこと? 『愛してる』って……え? どうして?)
胸が不快にざわつく。『浮気』という単語が浮かんだけれど、すぐに疑問で頭がいっぱいになった。
(惚れ薬が効いてるのに、浮気って出来るものなの? まさか……惚れ薬の効果が切れた? それとも私に惚れてるだけであって、浮気や二股は可能ってことなの?)
何がなんだか分からなくて頭がグルグルする。けれど、周防さんの様子が今朝もいつもと変わらなかったことを思うと、惚れ薬が切れたというよりは浮気か二股の可能性の方が大きいような気がした。
途端に胸がズキンと痛んで、涙が込み上がってくる。
自分でもどうしてこんなにショックなのか理解できない。だってこの恋は偽物で、周防さんは薬のせいで私に惚れているだけで、そのうえ私は彼のことをなんとも思っていないはずなのだから。
それなのに、浮気かもしれないと思っただけでポロポロと涙があふれていく。意味が分からない。悲しくて悔しくて寂しくてつらくて、こんな最悪な気分初めてだ。
好きな相手にはすごく誠実で優しい人だと思ったのに。本当に周防さんの恋人になれたらすごく幸せだと思ったのに。浮気する人だなんて思わなかった。
(私じゃエッチする気になれないから、浮気したのかな……)
自分で自分に追い打ちをかけるようなことを考えてしまい、ますます泣けてくる。
惚れ薬の効果をもってしても彼にとって私は抱きたいと思えない存在だなんて、あまりにも惨めだ。
「もうやだ、こんなの……こんな恋、最低……っ」
膝を抱えて泣きながら、私はそらせなくなった自分の心と向き合う。
周防さんに女として魅力を感じてもらえないことも、浮気されたかもしれないことも、どうしてこんなに苦しいのか――。
いつしか私の方が彼に心惹かれていたんだと、偽物の恋に溺れていた自分に気がついて、その馬鹿さ加減にますます涙があふれた。