俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「なに考えてんだあのムッツリスケベ野郎! ふざけんな! おい、お前もちろん一発ぶん殴って断ってきたんだろうな!?」
まさか周防さんを怒らせると思っていなかった私は、活火山のように手のつけられなくなった彼を前に「ひぃぃ」とおののきながらガクガクと震える。
「こ、小宮山さんはカメラマンですよ? スケベじゃなく芸術なんだから怒らないでくださいぃ」
芸術方面に身を置く私でもヌードモデルには抵抗があるのだから、そうではない周防さんがすんなり理解できるはずがなくて当然だった。そんな予測もできず素直に話した自分が馬鹿だったと激しく反省する。
「カメラマンだったら欲情しないとでも思ってんのか、この馬鹿! 芸術だか個展だか知らねえが、ヌードモデルなんて絶対に! 絶っ対にさせねえからな!」
もはやとりつくしまもない。怒れる火山となった彼を前になすすべもない私だったけれど、ここまで頭ごなしにメタくそ言われるのは、アーティストのはしくれとして少しムッとした。
「わ……私だってヌードなんて恥ずかしいし、自分なんかが出来るとは思ってません。でも……下品な目で見ないでください。小宮山さんの写真はスケベとか欲情とかそういうものじゃないです。柔らかい世界観がすごく温かくて、見る人を癒してくれるような作品です。そんな素晴らしい世界のモデルに……私を選んでくれたんです。小宮山さん、私のことすごく褒めてくださいました。『女性的な魅力を内包しながら少女のような透き通った輝きも持っている』って。……嬉しかった。自分ではコンプレックスばっかりで魅力なんてないと思ってたから。だから……小宮山さんのこと悪く言わないでください。周防さんには分からないかもしれないけれど、アーティストってそういうものなんです。スケベとかそういう次元じゃなく、性も美に昇華させられる人たちなんです」
つい熱が籠もってしまって、すごく嫌味な言い方になってしまったと後悔したときには、言葉は口から出た後だった。