俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
パワーストーンはこまめな手入れが必要だ。効力を十分に発揮させるために何回か使った後は、石の種類に合わせて月光浴や流水、お香などで浄化してあげなくてはならない。
周防さんは私がスピリチュアル好きなことを知っている。以前飲み会のときにちょっとだけ話したのだけれど、そのときは「石を? 浄化? お前馬鹿なの?」と思いっきり馬鹿にされたのだ。
今夜は不気味なほどおとなしいと思っていたけれど、パワーストーンの話を振ってきたということはやっぱり虐める気満々だなと思い、私はとっさに身構える。
「別に馬鹿だと思ってくれて結構ですよ。おまじないだって神様だって、信じたい人が信じればいいんです。周防さんにとっては馬鹿でも、私にとっては心の支えですから」
ところが。てっきり『なんか生意気だな』とピスタチオを投げつけられるかと思いきや、周防さんはビールグラスをテーブルに置き私から視線を逸らすと、少し気まずそうに口を開いた。
「……馬鹿だなんて思ってねえよ。好きなものは好きでいいんじゃねえの」
モゴモゴと言いづらそうに伝えられたその言葉に、私は自分の耳を疑った。
(ん? んん!? だって前は馬鹿って言ったよね!? はっきりと『お前馬鹿なの?』って私のことディスったよね!?)
どういう風の吹き回しだろうか。やっぱり今日の周防さんは何か憑いてる。怖い。やっぱり帰りたい。
すっかり怯えている私を見て周防さんは一瞬不機嫌そうに口をへの字に曲げたけれど、すぐにため息をついて今度は困ったように眉尻を下げた。