俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
その夜。私は眠れなかった。

……眠れるわけがない。だって、周防さんが朝まで帰ってこなかったのだから。

「嘘でしょ……」

ついに朝六時をまわった時計を見て、深く溜息をつく。

まだ起床には早いけれどそのまま布団から起きだして、顔を洗いコーヒーを淹れてリビングのソファに座った。

しばらく帰りが不定期になるとは言っていたけれど、まさかいきなり朝帰りになるのは予想外だ。

営業部員にとって飲み会も仕事の内だし、お得意先に誘われれば朝まで断れないことがあるのも知っている。けれども。

不安で眠れないほど胸がざわつくのは、新年会の主催者が璃々の事務所だからだ。

ふたりきりではないとしても周防さんは璃々と一緒なのだと思うと、自分の心の嫌な部分がざわざわと騒ぎ出す。

「うぅ~、嫌だな。グズグズ考えたくない。テレビでも観よ」

テレビをつけ適当にザッピングしていると、普段見ないBSの情報番組で今日の占いをやっているのを見つけた。

「へー、この番組も占いやってるんだ。知らなかった、ラッキー」

大好きな占いを見つけウキウキとしながら画面を見入るものの――。

『今日のバッド星座はうお座。不運が不運を呼ぶ日。気合いで乗り切ろう』

余計に落ち込む結果に、がっくりと項垂れてしまう。
 
そのとき。
 
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