俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
玄関の方からガチャガチャと開錠する音が聞こえ、私は勢いよく顔を上げてソファから立ち上がった。
「お……っ、おかえりなさい……!」
「なんだ? もう起きてたのか?」
廊下に飛び出すと、ちょうど周防さんが玄関のドアを開けて入ってきたところだった。
とっさに出迎えたものの気持ちの整理がついていないままで、次に何を言っていいかわからない。
こんな時間まで誰とどこにいたんですか?と問い詰めたい気持ちは、「お、遅くまで大変でしたね」という遠回しすぎる台詞になって口から出た。
「うん、まあな。あー眠い、シャワー浴びてくるわ」
そう言ってコートを脱ぎながら浴室へ向かう周防さんに怪しい様子はない。……けれど、以前朝まで飲んできたときと違って、彼からほとんどお酒のにおいがしないことが、却って気になった。
そのとき、電話のコール音が鳴り響き、周防さんがポケットからスマートフォンを取り出す。その顔が一瞬驚きに染まったことを、私は見逃さなかった。
周防さんは私の方をチラリと見やってから、「悪いけどこれハンガー掛けておいてくれ」とコートを手渡すと、バスルームの脱衣所に入ってドアを閉めてから着信をとった。
(あ……っ、あやしいー!!)
いくら鈍感な私でもさすがにこれが普通ではないことぐらい分かる。
思わず脱衣所のドアに張りつき聞き耳をたててしまうのも、仕方ないというものだ。――ところが。