俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
私も「あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします」と挨拶し返すと、小宮山さんはますます目を細めて「ここ、いい?」と向かい側の席に座った。
「なんかすごくつらそうな顔してたね。何かあった?」
持っていたマイボトルからコーヒーを汲みながら、小宮山さんがそう尋ねた。
苦渋の決断の表情を見られていたことに気づき、私は赤くなりながら「いえ、その、ちょっと足がしびれて……」としょーもない言いわけをした。
「そう? もし何か困ってることがあったら言ってね。僕でよければ相談に乗るよ」
天使のような笑みを浮かべながらそう言う小宮山さんは、今日も天使のように優しい。
「ありがとうございます」とお礼を告げて密かに彼の優しさに感動していると、どこからともなく『……シャーマン美鈴……』という声が聞こえた。
「えっ?」
慌ててキョロキョロと辺りを見回した私の目に、とんでもないものが飛び込んでくる。それは――。
『詐欺容疑で逮捕された黒原容疑者は〝シャーマン美鈴〟と名乗っており、科学的根拠のない効果を謳った食料品などを売りつけ、およそ百万円以上を相談者から騙し取っていたとみられます』
「い、いたあーーーっ!!」
――なんと、シャーマン美鈴が詐欺師として逮捕されたことを報じるテレビのニュースだった。