俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「あれ、梓希さん?」

聞き覚えのある声に呼びかけられ、ハッとそちらを振り向いた。

「小宮山さん!」

振り向いた先にいた人物を見て、私の顔が一瞬でへにゃっと緩む。

小宮山瞬さん。うちに出入りするフリーのカメラマンだ。

カメラマンってわりとワイルドなイメージの人が多いけれど、小宮山さんは見た目も撮る写真も繊細だ。栗色の髪はフワフワのパーマヘアで、黒目がちな大きな目と相まって中性的な魅力がある。けれど身長は高くスラリとしていて、細身の体型が美しい。

性格もソフトで誰に対しても物腰が柔らかくて優しく、ある意味誰かさんとは正反対だ。

私よりみっつ年上の二十七歳で、当然この業界は私よりも長いのだけれど全然威張ったりせず、一緒にチームを組んだときには親切に色々教えてくれたりする、まさに聖人だ。

「こんばんは。晩ご飯?」

柔らかな笑みを向けられて、私の胸がキュンと鳴る。嬉しくて顔が綻んでしまうのを止められないまま、立ち上がって「はい!」と頷いた。

(ああ本当に素敵、小宮山さん。そのふんわりした笑顔、大好き……!)

この過酷な業界に舞い降りた天使のような彼に、私は恋をしている。

もちろん彼はひじょうにモテるのだけれど、今現在は彼女がいないとの噂だ。できることなら告白して恋人に立候補したいのはやまやまだけれど、彼のような容姿も中身もパーフェクトな男性と、見た目もイマイチでとりえもない自分が釣り合わないことくらい自覚している。
 
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