俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
嘘だ。いくらなんでもお芝居でキスしたり一緒に暮らしたりなんて、あり得ない。そもそもそんなことをする意味がない。

「まさか……だって……そんなことしたって周防さんになんの得もないじゃないですか」

震える声で言った私に小宮山さんは「そうかな」と答えると、何かを言いかけて口を噤んでから、なんだか複雑そうな笑みを浮かべた。

「まあ何が目的だったのか、本人に聞いてみないと分からないよね。けど僕は惚れ薬なんて最初から意味がなかったんだと思うよ」

きっぱりそう言い切った小宮山さんに私はもうなんて返していいのかも分からず、ただ眉を八の字にして情けない表情になる。

すると小宮山さんはクスッと笑って「じゃあさ」と私に向かって身を乗り出すと、声を潜めて言った。

「証明してあげるよ。惚れ薬の効果が嘘だったって」



――夜八時。

私と小宮山さんは揃って、とある居酒屋の前にやって来ていた。

「ほ、本当にここに来るんですか?」

「うん。GGプロダクションの人に聞いたから確実。僕もそこの制作会社によくお世話になってるから知ってるんだ」

今日の周防さんは確か、挨拶回りの後に取引先の新年会に誘われるかもしれないと言っていた。私はその取引先がどこか把握していなかったんだけれど、小宮山さんの情報網によるとそれはGGプロダクションという制作会社で、今夜の新年会は夜八時からこの居酒屋で行われるらしい。
 
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