俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
小宮山さんの情報網のすごさに感心するとともに、どうしてわざわざこんなところで周防さんを待ち伏せするんだろうと謎に思う。すると。

「あ、来たかな」

数台のタクシーがお店の前の車道で停まり、制作会社のスタッフと思われる人たちが十数名ほど降りてきた。

その中に周防さんの姿を見つけ、小宮山さんは「行くよ」と私の手を引いた。

「周防さん、こんばんは」

声を掛けられて振り向いた周防さんは、私と小宮山さんの姿を見て目を丸くする。

「小宮山さん、……と梓希? どうしてここに?」

それと同時に小宮山さんがいることに気づいた制作会社のスタッフの女性たちも、「あれ、小宮山さん?」「偶然? よかったら一緒にどうですか?」と声を掛けてきた。

小宮山さんは彼女たちに向かって愛想のよい笑顔をにっこりと浮かべると、「また今度ね。それより五分……三分でいいや、周防さんちょっと借りていい?」と言って周防さんの腕をグイッと掴んだ。

当然周防さんは怪訝な顔をし、女性スタッフたちも不思議そうに顔を見合わせる。けれど。

「いいけど、すぐに返してくださいね。乾杯待ってますから」

そう言って快諾されたのは、小宮山さんの人徳があるからだろう。

「ありがとう」と言って小宮山さんがニコニコ手を振ると、スタッフたちも手を振り返しながら店内に入っていた。

お店の前には周防さんと小宮山さん、それに私の三人だけになる。
 
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