俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「……何のご用ですか、小宮山さん。椛田まで連れてきて」
平静を装っているけれど、周防さんは明らかに不審な目を向けている。それはそうだろう。だって私たちの行動、あまりに突飛で怪しすぎる。
「申し訳ありません。緊急に確認したいことがありまして。一分も掛かりませんので」
意気揚々と言った小宮山さんに、私も思わず眉根を寄せてしまう。こんな場所でたった一分でいったいどうやって惚れ薬が効いていなかったことを証明するのだろうか。
すると小宮山さんは「さ、梓希さん」と言って私の両肩に手を置くと、なんと――。
「ぇ……っ!?」
周防さんの目の前で、私にキスをしてきた。
あまりに突然のことで頭がパニックになり、何も考えられなくなる。けれど次の瞬間。
「小宮山ぁっ!!」
そう怒鳴った周防さんが我を忘れたように乱暴な動きで小宮山さんの胸ぐらを掴んだのを見て、思考が一瞬で戻った。
「だ、駄目! ストップ! ストーップ!」
殴りかかろうとする周防さんの腕を掴み止め、なんとか鎮めようとする。歩道にいた人たちがこちらを注目しザワザワしてきたところで周防さんも我に返ったのか、小宮山さんから手を離した。
けれど不穏な雰囲気は消えることなく、周防さんはものすごい形相で小宮山さんを睨んでいる。
それなのに小宮山さんときたらどういうわけか、楽しそうに肩を竦めて笑っているではないか。