俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
荷物の半分以上が周防さんのマンションに置いたままなので、私の部屋はなんとなく寂しい状態だ。
とりあえず暖房を入れ、すぐにケトルを火にかける。
さっき抱きしめたときに気づいたけど、周防さんの体は冷え冷えだった。二時間もこの寒空の下で待っていたならそれも当然だ。
「すぐにお風呂のお湯溜めるから、ちょっと待っててください」
とにかく周防さんにあったまってもらおうとバスルームへ向かおうとしたけれど、いきなり後ろから抱きすくめられてしまった。
「周防さん、お風呂……」
「いいよ。こうしてればあったかくなる」
そう言って周防さんは私を抱きしめたまま、その場にストンと腰を下ろしてしまう。
大丈夫かなあと思いつつ、私は体に回された手を自分の両手で包んで優しくさすった。
どちらとも喋らないまましばらく沈黙が流れたけど、やがて周防さんが私の首筋に顔をうずめながら、「こっち向くなよ」と前置きして喋りだした。
「俺、お前のことずっと好きだった。お前が入社した頃からずっと。それなのにお前は俺のこと全然好きじゃねえし、優しくすれば怖がるし、おまけに小宮山のこと好きだしで、もうどうすりゃいいんだよってときに、お前が最上と惚れ薬の話してるのを偶然聞いたんだ。自分でも馬鹿みたいだって思うけどさ、きっかけが欲しかったんだよ。お前との関係を作り直せるきっかけが。薬のせいにしてうんと優しくして、好きだって正直に伝えて、俺のこともっとたくさん知ってもらって。それでお前に好きになってもらえるチャンスかもしれないと思ったんだ」