俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
耳の近くで話される周防さんのひと言ひと言が、私の胸を苦しくさせる。
だって私の知っている周防さんはいつだって俺様で自信満々で、そんないじらしい片思いをしていただなんて全然知らなかった。なんだって余裕でこなせちゃう周防さんが、惚れ薬を利用するなんて馬鹿らしい方法に飛びつくほど私のことで悩んでただなんて。全然、全然気がつかなかった。
「……本当ムカつくよ。こんながむしゃらでカッコ悪いのは、生まれて初めてだっての。なんで俺こんな馬鹿みたいな芝居してるんだってほとほと情けなくなったけど、それでも……お前を抱きしめたときにプライドとか馬鹿らしいとか、そういうの全部吹っ飛んだよ」
私を抱きしめる腕に、ギュッと力が籠もったのがわかった。
胸がドキドキして、なんだか泣きたくなってくる。周防さんことが好きでたまらない気持ちが、涙になって零れそうだった。
「すごく幸せだった。偽の関係だって分かってても、お前のことめいっぱい可愛がって甘やかして、気持ち素直に伝えて。毎日めちゃくちゃ幸せだった。……多分さ、お前が想像してる百倍くらい、俺、お前のこと好きだよ」
……ズルいなって思う。そんなふうに言われたら、私はもう周防さんのことを責められない。我ながらちょろいなと思うけれど、切ないくらい彼のことが愛しくなってしまった時点で私の負けだ。
「ごめん。こんなの卑怯だって分かっててお前のこと恋人にした。惚れ薬なんてこれっぽっちも効いてないし、心臓が止まるなんてのも全部演技だった。――でも、お前に伝えた気持ちは全部、嘘じゃない」
微かに震えた声でそう告げた周防さんは、そのときどんな顔をしていたのだろう。
うしろから抱きしめられたままの状態では、知ることは出来ない。けれど。