俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
あとはこれを小宮山さんに飲ませるだけだと思っていた私は、説明書の最後のページに書かれていた注意書きを読んで目を疑った。
「え? え?……『注意。惚れ薬の効果は一生続きます。相手はあなたを一生愛するので、あなたも相手を一生愛してください。もしあなたからの愛が得られなくなったら、そのとき惚れ薬を飲んだ相手は命を失うでしょう』……って、なにこれ怖っ!」
「怖っ! ってか胡散くさっ!」
なんだこの謎ルール。こんなの聞いてない。人体に害はないって言ってたのに、人命に害はありまくるじゃん!
「だめだめ! こんなの小宮山さんに飲ませらんない!」
今は小宮山さんに恋している私だけど、その想いが一生続くかといわれたら分からない。私はまだそこまで彼のことを知らないし、何より彼氏すらできたことがないのに一生添い遂げられる覚悟なんて私に分かるわけがない。
「騙されたあ~! こんなの使い物にならないよ!」
もはや認めざるを得ない。私はシャーマン美鈴に騙されたのだ。ああ馬鹿らしい。返金保証があるとはいえ、時間を無駄にしたうえ乙女心を弄ばれたようで悔しくてたまらない。
「詐欺にしてもやり方が雑っていうか、馬鹿にしてるよね。まあ、小宮山さんに怪しいもの飲ませる前に気づいてよかったんじゃない?」
「ほんとそれ。あーあ、馬鹿みたい。こんなもの捨てちゃお」
盛大なため息をつきながら、私は惚れ薬の混じったコーヒーの紙コップを持って椅子から立ち上がる。そして隅にある手洗い用の流し台に向かったときだった。