俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
(終わった……私の人生終わった……)
翌日。私は絶望的な気持ちを引きずったまま仕事をしていた。
うちの会社はフリーアドレスなのだけど、クリエイティブ部はデスクトップパソコンや大型モニターが必要なため個人デスクも用意されている。けれど、それらを使わないで済む作業のときは、他の部署と同じく自由な席で作業していいことになっている。
それをいいことに、今日の私はなるべく目立たないフロアの隅っこのデスクで隠れるように作業していた。
なぜって、なるべく周防さんに見つかりたくないからだ。
当然だけれど、私は周防さんの恋人になる覚悟などできていない。彼に好意を寄せられてもどうしたらいいのかさえわからないのだ。
いつまでも彼を避け続けるわけにもいかないけれど、とりあえず今は顔を合わせたくない。そう願って私は幽霊のように気配を消し、フロアの隅っこで液晶タブレットを使って作業していた。
そうして作業に没頭すること小一時間。
ふいに頭の上に影が落ち、私は反射的に顔を上げた。するとそこには――。
「珍しいとこで作業してるな」
「ひっ! 周防さん!?」
上から覗き込むようにデスクの正面に立つ周防さんの姿が。