俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
思わずひきつった声を出してしまった私に、周防さんは一瞬キョトンとする。
いつもならこの後『なんだ、その嫌そうな反応は』と睨まれたうえ、おでこを指でグリグリされるのが定番だ。
もはや条件反射で「わぁ、すみませんっ」と謝っておでこをガードすると、周防さんは眉尻を下げて困ったように笑った。
「悪い、作業に集中してたのに驚かせちゃったな」
そうして手元のタブレットに影を落とさないように一歩下がった彼の姿を見て、私は心の中でまたしても驚愕の悲鳴をあげた。
(何このいつもと百八十度違う態度……! す、周防さんって、惚れた相手にはこんなに謙虚なの!?)
惚れ薬の効果とはいえ、あまりにいつもと違う彼に驚かざるを得ない。
と同時に、今まで真逆な態度をとられていたということは、周防さん的に私は恋愛射程圏内から一番遠いところにいたわけだと理解して、なんとなく複雑な気分になった。
(私のこと全然好きじゃないのに恋心なんか抱かされて……なんか周防さんにものすごく申し訳なくなってきた)
そんな罪悪感を覚えソワソワとしていると、周防さんはらしくない歯切れ悪い様子で「あのさ」と話しかけてきた。
「……もし今夜あいてるなら、晩飯でも一緒にどうかと思って」