俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
その誘いに、肩がビクッと跳ねた。

反省会でも飲み会でもない、純粋なディナーのお誘い。惚れた相手に対するそれがどんな意味を持っているかなんて、デート経験のない私にだってさすがに分かる。

お誘いに乗るわけにはいかないと思い断ろうとすると。

「お前、海老好きだろ? 海老フライ専門店って店があるんだけど、一緒に行かないか」

まさかの私の好物をピンポイントに突いてきた誘惑に、気持ちが一瞬ゆらぎそうになった。

(海老フライ専門店……! 何それ気になる!)

うっかり目を輝かせてしまったけれど、すぐ我に返り首を横に振る。そして「せっかくだけど、ごめんなさい。今夜は予定が……」と口にしかけたときだった。

「う……っ」

目の前の周防さんが小さく呻いて、苦しげに顔をしかめた。

「ど、どうかしましたか?」

「いや……? なんか急に胸が苦しくなって」

その答えを聞いて、私はゾッと背を冷たくする。

――『もしあなたからの愛が得られなくなったら、そのとき惚れ薬を飲んだ相手は命を失うでしょう』

まさか、もしかしてこれって……惚れ薬のせい? 私が周防さんの愛に応えてあげないと、本当に周防さん死んじゃうの?
 
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