俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
周防さんが連れてきてくれたお店は、まだ三日前にオープンしたばかりだという、日本でも珍しい海老フライ専門店だった。

こんなお店を知ってるなんて、さすがは何かと情報に聡い広告代理店営業部だなと密かに感心する。

店内は地中海リゾート風の内装になっており、ブルーとホワイトベースの爽やかなインテリアで統一してある。お洒落で話題性抜群のお店は当然満席で賑わっていたけれど、周防さんは個室を予約してくれていたので、落ち着いた雰囲気でテーブルに着くことができた。

専門店だけあって海老フライは絶品オブ絶品。衣はプレーン、アーモンドスライス、チーズ入りクラッカーの三種類もあってどれもサクサク。大ぶりの海老はプリプリの歯ごたえに、ほんのり甘みがあってジューシーで……私はこんな状況だというのについ「おいし~い」とうっとりと感激してしまった。

「本当に好きなんだな、海老。ほら、もっと食えよ。フリッターや唐揚げもあるぞ」

舌包みを打つ私を楽しそうに眺め、周防さんはそう言ってメニューを差し出した。

「わあ、フリッターもおいしそう~。……でも太っちゃうからやめておこうかな」

一瞬フリッターのふわふわな衣に心惹かれたけれど、さすがに揚げ物のオンパレードはいけないと頭で警報が鳴る。ところが。

「好きなものくらいいいんじゃないか。それに……ちょっとくらいポッチャリしてる方が、お前はかわいいと思うけどな」

悪戯っぽくはにかむ周防さんの台詞に、私はあやうく口に含んだロゼワインを噴き出しそうになった。

(かわいい!? 今までさんざん大福餅呼ばわりしてきたくせに、ポッチャリがかわいい!?)
 
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